「ワンピースの実写化なんてやめてー!」と映画化の噂を聞くたびに思ってきたわたし。この度スーパー歌舞伎になると聞き、それこそ「どうなのよ?」と半信半疑でおりました。

歌舞伎大好き。ONE PIECEワンピース大好き。だからこそチケットを取るかどうかの葛藤。ただ、チケットサイトを見たら空席がいっぱい・・・(苦笑)。しかも10月11月と2か月連続で公演が決まっているし。

となると「わたしが何とかしなければ!」「わたしが行かずに誰が行く!?」と、変な使命感が沸いてきて(自意識過剰)、行ってきました「スーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド)『ワンピース』」!

スーパー歌舞伎市川猿之助ワンピースONE PIECE新橋演舞場

結論。どうして今まで気づかなかったんだろう。「ONE PIECEワンピース」を実写化するなら、歌舞伎ほど向いているものはないってことに!

劇場入り口には尾田栄一郎書き下ろしの絵が「どーんっ」

劇場入り口には尾田栄一郎書き下ろしの絵が「どーんっ」

もいっちょ「ドーンッ!」

もいっちょ「ドーンッ!」

まさに、歌舞伎の語源でもある「かぶき者」(派手な衣装や一風変わった異形を好んだり、常軌を逸脱した行動に走る者by wiki)たちが勢ぞろいする「ワンピース」の世界こそ、歌舞伎にぴったり。

11時開演、15時25分終演(うち休憩55分)。

完全にワンピースの世界です。でも歌舞伎です。宙乗りあり、大量の水の演出あり、客席総立ちライブあり、オカマショーあり、涙あり・・・とにかく楽しい4時間半。

ちなみに予想に反して、平日昼間の公演にもかかわらず満員です。しかもいつもの歌舞伎の観客らしき人(お得意様)ももちろんいるけど、あきらかにワンピースファンと思われる男性女性も少なくない。新たな顧客開拓には間違いなく繋がっている模様。

とにかく「ONE PIECEワンピース」好きで、1回でも歌舞伎を観たことがある人、絶対観た方がいいと断言できます。

話せば長くなるので、おすすめポイントでまとめてみます。

 

◎キャラクターはすべて漫画「ワンピース」を踏襲

パロディーではなく、ちゃんと全員漫画どおりの名前で登場。内容は一部脚色されていたり、わかりやすく変更されていたりするけれど、名前が一緒なので「ワンピース」ファンには違和感なし。歌舞伎なのにタイトルもカタカナで「ワンピース」であることも納得。

現に、入場すしてびっくり。ルフィが舞台に立ってるし!!

開演前、幕の前にルフィが立ってお出迎え

開演前、幕の前にルフィが立ってお出迎え

◎ちゃんと歌舞伎になっている

ブルックはブルックのままだし(アフロに、骸骨メイク)、気を抜けばサンジはスーツ姿だし。フランキーも「暫(しばらく/市川團十郎家、海老蔵さんの十八番)」風の装いでもフランキー以外の何者でもないし。ツッコミどころ満載なのに、ちゃんと歌舞伎的要素があるから歌舞伎として成立していると思います。

(1)麦わらの一味が登場し、それぞれ紹介する場面。歌舞伎でいうところの「名乗り」にちゃんとなっている!「白浪五人男」の勢揃いの場みたいに(弁天小僧が出てくる、「知らざぁ言って聞かせやしょう」が有名なお話)、それぞれが名乗って、見栄を切って、かっこいい。

(2)歌舞伎ならでは一人複数役。歌舞伎の定番手法の「早変わり」も、猿之助のルフィ&ハンコックでたっぷり見ることができる。お見事!

(3)殺陣満載。現代芝居風にアレンジしていても、「とんぼ」「海老反り」などが要所要所にきっちり入っていてちゃんと歌舞伎の間になっている。

定式幕もONE PIECEワンピース仕様

定式幕もONE PIECEワンピース仕様

◎歌舞伎として切り取る場面が秀逸

今回上演されたのは、捕らえられたエースを救い出す「頂上戦争編」。エース奪還前後。女ヶ島(ハンコックがいる男子禁制の島)〜インペルダウン(海軍の大監獄)〜エース&白ひげ決闘(海軍本部)という場面。

・女ヶ島=女形がいっぱいいる歌舞伎にはぴったりの設定!

・インペルダウン=ここではイワンコフ(革命家/ニューハーフ)が大活躍するので、ニューハーフショーで魅せる。そして何と言っても海の孤島インペルダウンなので、水を引き入れ、大量の水の演出が楽しいたのしーすばらしー!!

・海軍本部=とにかく戦闘シーンが多いので、殺陣の見せ所満載。そして白ひげの最期はまるで「俊寛」の最後を彷彿させます。

◎漫画の技の再現の仕方のおもしろさ

「ルフィの腕はどうやって伸びる?」「ロビンちゃんの手はどうやって増える?」「火拳のエースとマグマの赤犬サカズキはどうやって戦う?」「白ひげの地震はどうやって表現する??」などなど、原作を知っている人はきっと疑問でいっぱい。それを1つ1つ「おー!そうきたか!」「なるほど!」の連続で解決してくれます。今回、演出に猿之助さん本人も加わったとのことで、産みの苦しみもあったと思うけど、これ考えるの楽しそうだろうなー。

個人的には、青雉クザンの技の再現がいちばん歌舞伎っぽくて、楽しかった!

◎ショーとしての完成度の高さ

スーパー歌舞伎の醍醐味、宙乗りも、ライブパフォーマンスと相まって、会場全員総立ち。しかもまだ第二幕ですよ、中盤ですよ。それでこんなに盛り上がっていいのでしょうか?というくらい楽しい!猿之助さんが空を飛び、クジラも空を飛ぶ!

そのほか、女ヶ島やインペルダウンなど、要所要所で魅せてくれます。

猿之助も空を飛びますが、クジラだって飛ぶんです!

猿之助も空を飛びますが、クジラだって飛ぶんです!

◎配役のハマり方で、ひときわ目立つ人々

この項目は完全にわたしの独断と偏見。とにかく目立ってドンピシャな人たち。

・市川右近の「白ひげ」=さすがの存在感。先代の猿之助の後継者としてスーパー歌舞伎の主役を勤めていただけあって、圧倒的な存在感はまさに白ひげ。ともすれば歌舞伎っぽくなくなってしまう終盤(エースはもちろん、白ひげ海賊団や海軍の皆さんは、歌舞伎っぽい衣装じゃない人も多いから)、前述のとおりまるで「俊寛」の世界観で歌舞伎に引き戻してくれるし。

・坂東巳之助の「ボンクレー」=巳之助はゾロも演じているけど、とにかく「ボンクレー」が強烈すぎて(笑)。個人的には今年2月に亡くなった父・三津五郎さんが好きだったから、「巳之助、もうちょっと頑張れー」と上から目線でずっと見てきたけど、本作では思いっきり突き抜けてて、なんか成長した!とまた上から目線で思いました(笑)。大して知らないのに偉そうですみません。

・市川猿弥の「ジンベエ」&「黒ひげ」=猿弥さん、いつもいい味出してるなーと思いますが、今回の黒ひげ、本当に悪そうだった・・・。そしてジンベエ、漫画同様、いい人(魚?)だった。なんというか、このチャレンジングな企画において、出るだけで安定感?安心感?

・浅野和之の「センゴク」&「エンポリオ・イワンコフ」=歌舞伎役者ではなく舞台俳優さんですが。とにかくイワちゃん(インワンコフ)でいい味出しまくってた!このお芝居のショー的要素の結構な部分を担っていたのでは?と思う。そして、センゴクは漫画のまま、というより、漫画より偉そう。

あとやっぱりキュンキュンきたのは、やっぱりエースチョッパーかしら❤︎エースがかっこいいのは言わずもがな。しかもそれを演じる福士誠治くん、こんなにかっこよかったっけ?と思うくらいかっこよかったー❤︎そして、チョッパー。あまりネタバレさせたくないけど、本当に本当にかわいかった。。。連れて帰りたい(笑)。

 

そして、ワンピースとコラボしただけあって、商売も上手でございました(笑)。グッズがこれでもかと出てるんだなー。

商品系は「(2)日本が誇る2大コンテンツ夢の共演は、コラボ商品天国!?スーパー歌舞伎Ⅱ「ONE PIECEワンピース」に続く!

チケットはこちら→チケットぴあ


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