さて、伊勢丹の会員向けイベントかと思って申し込んだ、歴史的建造物でフレンチのコースを楽しんで、市川染五郎さんのトークを聞こうというイベント。行ってみたら、家庭画報主催の「『人生いろいろ染模様』〜市川染五郎さん出版記念イベント」でしたが、とにかくお話もおもしろくて、料理も大満足で、建物もステキでした、というお話の本題です。
伊勢丹の定員は25名。だからこじんまりしているかと思いきや、7人掛けの円卓が20卓以上。150人規模です。伊勢丹はたぶん一番の少数派で、メインは家庭画報の会員、次に三越のカルチャー会員、そして伊勢丹かな?
「お席は予め抽選の上決めさせていただきます。受付時にお席札をお渡し申し上げます」と事前に届いた書面には書いてあり・・・でも本当に抽選かな?と半信半疑。
あきらかに、上顧客でもなければ、ただポッと申し込んだだけの若造(この日のメンバーだと若い方の10%には入ってたと思う!)、私なら端っこの席にする。
しかーし!なんということでしょうー!!
着いてみると、ど真ん中の、一番前!!!きゃーー!!!伊勢丹、疑ってごめーん!!!
しかも参加している上顧客の皆さん、本気の染五郎ファンのみなさん、ごめんなさい!
わたし、染五郎は好きなんです。でも別に熱烈じゃないんです(汗)。誤解がないように伝えると、わたしは中村勘三郎さんの大ファンで、純粋な歌舞伎ファンです。勘三郎さん亡き今、勘三郎さんの遺志を継いでいたり、勘三郎さんがかわいがっていたりした歌舞伎役者さんたちを応援したいし(上から目線でごめんなさい)、歌舞伎を盛り上げようとしている人たちとか、新しいことに取り組みながら、古典も継承している人が好きなんです。
そういう意味で、染五郎さんも好きだし、応援してます。今回の著書「人生いろいろ染模様」の中で染五郎さんも勘三郎さんとのエピソードに触れてますので、ぜひみなさん読んでみてください(ちゃんと宣伝した)
閑話休題。
さて、今回のイベント、出版記念ということですが、この「人生いろいろ染模様 」自体は家庭画報で2014年4月から連載していたものに、今回10本の新しいエッセイを加えて出版されたそうです。
挨拶には、家庭画報の秋山編集長が立たれたんですが、「本がまだできる前に、先にイベントが決まっていたんです」とかなり綱渡り進行だった裏側を暴露しておりました。だから、本の後ろの発行日をみるとイベント日=2015年10月20日になってる!出版記念イベントなのに、本ができてないとか、そりゃシャレにならんよなーと他人事ながら、プレッシャーを想像してみたり。
当日は染五郎さん直筆サイン入りの著書もお土産にいただきました。歌舞伎NEXT「阿弖流為」の大阪公演の合間に書いてくださってと聞いて、うれしさ倍増。わたし、結局「阿弖流為」の東京公演は残り少ないサラリーマン人生のラストスパート時期で調整がつかず、結局、母に誘われたのにわたしだけがいけなかったんだな・・・。返す返すも残念。
さて、市川染五郎さん。多忙のなかでの雑誌連載ですが、一度も締め切りには遅れたことがないそうで。「計画を立てるのが趣味」だけど、「立てても実行するかどうかは別。脚本書いたり、演出したり、本人も役者もやってる某・野田秀樹さん(!?)から『原稿は締切日に書くものだ!』と言われ、それを守ってる」そうです(笑)。
でも、今回の書籍化では追加で10本。「その原稿もあげてないのにブログなんて書いてたら・・・」と編集者の目を気にしたのか、ご自身のオフィシャルブログ更新は控えていたとかいないとか。無事出版が終わったので、海老蔵さん超え期待しましょ。
トークショーでは、41年間憧れ続けた「勧進帳」についての想い、家族の話、新歌舞伎座について、これからの歌舞伎界について、これからやりたいこと・・・など盛りだくさん!
◎「勧進帳」について
「弁慶に出会ったから歌舞伎役者になった」と断言するほど憧れ続け、満を持して弁慶を演じた染五郎さん。父・松本幸四郎さんは1000回以上「勧進帳」を演じるなどすごい記録を持っているだけにそのプレッシャーも大きかったのでは。
「今まで憧れて、夢を持っていた。最初に具体的に実感したのはかつら合わせ。そして衣装をつけての撮影。今まで父や祖父を見てきたので、自分が扮装をするとまず見た目が違う。達成感というよりも、憧れではなく、夢を砕いた瞬間だった」と振り返る。
◎息子・金太郎くんについて
息子の金太郎くんは父・幸四郎、自身・染五郎の弁慶の両方の舞台に出演させているが、それについては「二人の舞台に出してどう違うかを感じてもらいたい。言葉で説明するより、目の当たりにしてもらいたい」という思いから。
歌舞伎一家では、親子というより師弟で、とにかく稽古のときに厳しくしているのをテレビや雑誌で見聞きするが、染五郎さんは「怒鳴ったりはしないが、ぼくはしつこい」らしい(笑)。
「師弟と親子の区別は『はい、ここから!』とはできない。映画や本の話をするように、一番よくする話が芝居という感じ」といたって自然体。
◎今の歌舞伎座について
今の歌舞伎座は生声、生演奏が綺麗に響いて、抜群の環境だそうで、何より「自分の声と相性がいい」らしい(笑)。コンクリートは乾ききるのに10年かかるらしいが、2013年にできたばかりでこの状態なので、これから先が楽しみ!
◎ファッションについて
女性誌のイベントだし、メディア露出も多いので、どれだけこだわりがあるのかと思いきや普段は本当にファッションに無頓着らしい。「テレビや雑誌はスタイリストさんがつくから」と。使っているカバンも昔ファンクラブで作ったものだとか。
◎これからの歌舞伎界への思い
「世代によって、厚い層とそうではない年代がある。自分の年代はあまり人数がいないので、先輩方の座組みの一番下っ端として参加させてもらうことが多かった」という染五郎さん。「勘三郎さん世代や今の20代は人数が多いから、それだけで1つ芝居ができてしまう。それはうらやましくもあるけど、その分、仲良しになってしまう。たとえば若手によく話すのが『5人で仲が良くても、四天王の芝居があったら出られるのは4人だけ』ということ。結局、1つの芝居で主役は一人だけ」。
名門に生まれたにもかかわらず、この歌舞伎に対する真摯な姿勢が、観客を魅了する演技につながっているんだと心底実感。
◎これからやりたいこと
去年「勧進帳」を勤めた染五郎さんだが、今年はラスベガス公演や歌舞伎NEXT「阿弖流為」など新しい挑戦が続いた。「海外公演は海外じゃないとできない演出や公演をしたい。でもそれは、日本に来て歌舞伎座で個展を観てもらうことが目的」という。また「歌舞伎NEXTもネクストというからには続けたい。すでに劇団新感線のいのうえひでのり氏、中島かずき氏など同じメンバーで次も!と話し合っている」そう(ここで会場からは大拍手〜!)。
12月にはなぜか夏の演目である「東海道四谷怪談」(お岩さんのやつ)を国立劇場で。「忠臣蔵の討ち入りは12月だから」ということで、よく知られた四谷怪談にまったく新しい場面を追加したり、仕掛け(四谷怪談はケレンと呼ばれる歌舞伎ならではの技巧的演出がものすごーくたくさん)もまったく新しいものに変えたり・・・とだいぶ「攻め」の四谷怪談になりそう!!冬に四谷怪談を見る気にはなれなかったけど(苦笑)、染五郎さんの話を聞いて、がぜん行く気満々になった!!今年の観劇納めは四谷怪談にしよー!
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と、あっという間の1時間15分。写真撮影はできないし、記念撮影もなしだけど、まあ150人いたらやむなし。
染五郎さんが退出して、次なるお楽しみのフレンチのランチコース、はじまり!
具だけ入った器が配られて、そのあとスープを一人ひとりにサーブしてくれます。
パンは単なる炭水化物の扱いだけれど、ちゃんとメニュー化されていてびっくり!
このリエット、何気にこの日いちばんのヒットかも?というくらいおいしかった!
ほろほろと簡単に崩れる柔らかいお肉は、終盤にもかかわらず周りのマダムたちも皆、無言で勢い良く一気食いするほど美味!
ランチだからか、意外と飲んでいる人も少なくて、その分みな食事に集中&夢中!うちの母世代のマダムが「量が少なかったわね」と言っていたのにはびっくりしましたが(笑)、わたしはこの日の夕食に差し障りがあるほど、満腹になりました!
退職して1か月。こんなご褒美があってもバチは当たらない!と自分に言い聞かせ、最後のアンケートには「また開催してください」としっかり記入いたしました(笑)。
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