それはそれは素敵なランチでございました。ランチだけど、満足度は完全にディナー。
小田急線・祖師ケ谷大蔵にある「トラットリア フィオッキ」。
祖師ケ谷大蔵という場所にもかかわらず、食べログではTOP500に入る実力派。
北イタリア・ピエモンテ州を中心としたイタリア料理だそうですが、州の名前を聞いても、まったく想像がつきません(笑)。が、このお店の看板メニューであるスペシャリテ、仔羊の藁包みローストもピエモンテ州ピネローロの奥地に住み着いたヴァルド派の伝統料理とのことで、なんだか文字を見ているだけで、期待と妄想が膨らみます。
ちなみにランチコースは、メイン料理のついたプリフィクスで3種類。メインはないけれど旬の食材でつくる「おまかせおすすめコース」3種類。
ズッパ(スープ。こうやって呼ぶの、初めて知った苦笑)とメイン料理を食べたいわたしたちは、プリフィクスCコース(5000円)を選択。
羊も事前予約をすれば、ランチでも+700円でいただけるらしく、これは食べるしかない!!なぜならこちらのお店。子どもは小学生以上から。となると、次はいつ来られるかわからない。
店内はとても写真を撮る雰囲気ではなかったので、こんなはありません(小心)。そして、重厚なレンガ造り(風?)の店内はランチでもしっとりとした趣で、照明の加減もバッチリな分、お料理撮影には厳しくて。先に言い訳しておきますが、実物は、この写真の50倍はおいしそうです!
ではでは、この日のコースをば。
ネットでは前菜の盛り合わせからスタートですが、その前に新鮮野菜のちっちゃなバーニャカウダがありました。グツグツ煮えているバーニャカウダは、濃すぎず、でもしっかりアンチョピで、野菜の味を損なわな。!旬の野菜を大切にしているだけあって、一口サイズの野菜はどれもしっかり野菜の甘みがして美味。あっという間にぺろりです。
次は前菜の盛り合わせ。とにかく美しいのひと言!ランチでこの数と、このクオリティの前菜を7種類も出してくれるのってなかなかない気が。ざくろやイノシシのハムやら、少し珍しい食材も使いながらも、普通に切っただけどプチトマトも驚くおいしさ。
そして、わたしは完全なる下戸で、まったくお酒を飲まないのですが。このお店を紹介してくれたわたしの旧友Kは、お酒もおいしいものも大好き。彼女のチョイスを見ていると、「ワイン飲めたら楽しいだろうなー」と思わずには入られません。
「火山灰の土地でできたぶどうで作ったワインはこのへんの人の誇りになっている」というK女史の記憶と、お店の人の「日本にこの1本しかない」というひと言で、シロウトでも飲みたくなったワインがこれ。
読み方も、地域も、何も記憶には残ってないけれど(苦笑)。所詮は下戸はこんなもの。でも、これがK女史いわく、驚くおいしさだったそうです。グラス1900円。通常のグラスワインの倍したけど、そんな話を聞くと間違いなくその価値はあるなーと、横でジンジャーエール(せめて見た目にスパークリングワイン風)を飲みながら思った次第。
さて。
いよいよズッパ。このお店を予約しようとするまで知らなくて、「ズッパとはなんぞや?」とネットで調べてしまったけれど。なんてことない、スープのこと(正確にはイタリア郷土スープ)。
・・・と思ってたら、これまた大間違いだった!!
わたしが頼んだのがこれなんですけど。
もう、常識を覆されまくりです。でもおいしい!!スープじゃないけど。グラタン?これは何??熱々の器に敷き詰められた豆と野菜とパンとチーズを無我夢中に食べながら、Kに「スープもかなりのボリュームだから、間違ってもパンを食べないように」と言われた意味がよくわかった。
そのほかのズッパのメニューは
◎ズッパ ディ ファジョーリ(うずら豆、金時、白いんげん豆の3種の豆の裏ごしスープ)
これは見た目にポタージュ状だったけど、まるでおかゆのようなずっしり感(by K)
◎トフェイヤ(豚の舌、耳、ほほ肉、足などと野菜を煮込んだスープ。ピエモンテ州の郷土料理)
◎パパロット(ほうれん草とサルシッチャが入ったトウモロコシ粉のズッパ。フリウリの郷土料理)
どれもそそられます。4回来ないと。
ズッパの次はパスタ。
パスタも悩ましいんですが。イタリア産小麦粉での自家製手打ちパスタが4種。
◎タヤリン パスミジャーノチーズ風味のバターソース ピエモンテ州の一皿(イタリア産手打ちパスタ用小麦粉とおいしい卵で練った極細ロングパスタ)
◎タリアテッレ パルミジャーノリーズ風味のトマトソース(イタリア産手打ちパスタ用小麦粉とおいしい卵で練ったきしめん状のロングパスタ)
◎パッパルデッレ パスミジャーノチーズで仕上げるひき肉の煮込みラグーボロニェーゼで(イタリア産手打ちパスタ用小麦粉とおいしい卵で練った薄く幅広いロングパスタ)
◎ウンブリチェッリ マッシュルームのラグー(イタリア産手打ちパスタ用小麦粉で練ったモチっとしたセミロングバスタ)
さらに、もう1種。南イタリアのこだわりパスタ生産者の乾燥パスタを使ったものも。
◎スパゲットーニ 天草の白身魚とアサリ、ケイパー、ドライトマトのアクアパッツァソース
前後の流れで考えた方がいいけれど、選べないときは、自分がいちばん好きそうなものを選ぶのが後悔しないはず。というわけで、ショートパスタ&きのこ好きなので、マッシュルームに決定!
きっとどれにしても後悔はなかったと思うけど、このもちっと感。短めの手打ち生パスタって感じで食感がたまらんっ。さらにマッシュルームってこんなに濃厚だったっけ??と思うほど。ポルチーニとかなくても全然奥深いです、はい。
そしていよいよメインディッシュ「仔羊の藁包みロースト」の登場!!
どーんっ!!
出してくれるときは、ちゃんと包んだ状態で一度持ってきて、見せてくれる演出がにくい。
イタリア北部では農作業に出かける前に、暖炉にぽいっと入れてじんわり焼いて戻ってきた頃に出来上がっているという郷土料理らしいですが、この藁とハーブのいい香り。家庭でできるとは思えない。
そして切り分けて持ってきてくれたのが、こちら。
とにかく柔らかい。そしてすべてか美しいピンク。最後までピンク。こんな焼き方できないできないできない!!ソースがついているけれど、藁とハーブの香りと、仔羊の上にふられた岩塩だけでおいしくいただけます。むしろ、そうしたい。
付け合わせのじゃがいもも自家製のバターをのせて、ぺろり。食べ終わってからこのじゃがいもがズシリと効いてくるのですが(笑)、食べているときはおいしすぎてそんなこと、一瞬たりとも頭をよぎりません。
そして、最後はデザートで終了。
とにかく満足度が高すぎのランチです。自分へのご褒美に仔羊を事前予約で、ぜひ。
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でもお店を出ると、さすがに食べ過ぎたなーと思うので商店街散策。
この祖師ケ谷大蔵は世田谷にありながら、ものすごーく庶民感もあって、「きっとこんな街に住むのは楽しいだろうなー」と思うところ。世田谷が人気なのもかなり納得。
ちなみに街のシンボルはウルトラマン。
ほかにもいたるところに、「隠れウルトラマン」がいるので、週末になるとカメラ片手に、散策にくるファンたちが大勢いるらしい。
そして、もう1つの観光名所があるのを知らなかった!とんねるずの木梨憲武さんの実家「木梨サイクル」はこの祖師ケ谷大蔵にあった!
もうディナーで食べてもなんら遜色ない、一部の手抜きもないランチコースをいただき、満腹すぎるお腹で腹ごなしがてら散策するにはぴったりの商店街。
有名なピザ屋さんとか、ワインバーとか、ケーキ屋さんとか、とにかく飲食店も充実していて、住んだら本当に楽しい街だと思いました。
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